第9回ヤマハジュニアピアノコンクール ロマン楽器本選会 結果速報
2023年10月8日(日)、ロマンホールにて第9回ヤマハジュニアピアノコンクール、ロマン楽器本選会を開催させていただきました。厳正なる審査の結果、次の通りとなりましたのでご報告させていただきます。最優秀賞を受賞の方にはロマン楽器の代表として映像審査による二次選考へ進んでいただきます。皆さまの応援をお願いいたします。賞に入らなかった皆さまも素晴らしい演奏をありがとうございました。
結果発表
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全体講評
皆さま、先日の本選会では大変お疲れ様でした。この本選会で審査をさせていただくのは4年ぶりでしたので、私自身何かこう懐かしいような気持で皆さんの演奏を聴かせて頂きました。とても素直に、そして各々の個性がよく発揮された演奏だった思います。
いつも思うことですが、一言に講評と言っても学年も違えばそれぞれの進度も違うわけで、すべてが当てはまるというわけでもなく、また講評の通りにすれば上達するということでもありません。
より良い演奏、より表現力のある演奏etc・・・皆さん自分にとってベストな演奏を心掛け目指しておられることと思います。どうすればよいのか、例えばバレエに置き換えて考えてみましょう。発表会などである役を踊るとします。お稽古では、まずは振付をしっかりと理解し、頭のてっぺんから指先や足のつま先まで神経を張り巡らし、身体が理解し覚えていくようにゆっくりから慣らしていきます。大変面倒くさぁ~~~い!!作業ですが、そこを怠るととんでもないことになります。ひとつひとつ正確に振付を覚えていくことで、それら振りの意味や身体の動きを理解する(観えてくる)ことから、よりよい表現に繋がっていくのではと思います。新しい曲を練習し始める時に(一度取り組んだ曲でもゼロベースからスタートします)、まずはテンポを落として練習しますが、ただゆっくり弾くだけでは意味がありません。ゆっくりでもテンポ、リズムが正確か、またスラー、・、>、-、などのアーティキュレーション、ダイナミクス、それらを正確によくよくよくよく聴いてください。まずは楽譜に何が書かれているかを正確に理解することで、その曲の風景が自然と観えてくるのです。他者の演奏を聴いて参考にはなるかもしれませんが、演奏する側となると、やはり自力で(指導者とともに)楽譜を理解しなくして風景は一向に観えてはきません。正確に楽譜を読むうちに、いくつかの表現の可能性が浮かびあがってきます。同じ楽譜でも演奏者によって表現が若干(またはわりと)異なるのは、すべて楽譜からなのです。なぜなら「作曲家はすべてを楽譜に書いている」といえるからです。正直ちょっと嫌な言葉かもしれませんが、それは演奏者を支配するものではなく、よくよく注意深く観ると様々なところで作曲家からのメッセージとヒントが書かれていると思います。ですから、よりよい読譜のためにもソルフェージュは大変重要です。「ここはこういう風に弾こうと」すぐに急いで結論を出さないように、丁寧に楽譜を読んでいきましょう。限られた時間内のレッスンで多くのことを取得することは大変ではありますが、だからこそ集中力をもって計画的に練習を進めるように心掛けてください。また、皆さんの演奏を聴かせて頂くのを楽しみにしております。
稲垣 聡
先日はYJPCロマン楽器本選会へのご出演、おめでとうございました。
今年も予選会から皆さんの演奏を聴かせていただいて、日々の努力や成長のあと、そして、皆さんに寄り添い、あたたかくご指導くださる先生方の思いが演奏を通して伝わってくるようで、「誰かを選ばなくてはならない」ことを除けば、とても幸せな時間でした。
さて、皆さんの演奏を聴く中で、楽譜に書かれていることに対して(表面的に)リスペクトの感じられる演奏も増えてきた一方で、楽譜と向き合って「どこで心が揺さぶられたか」を表現できる演奏にさらに触れられたら良いなと感じました。例えば好きな漫画やアニメのシーンや推しキャラが人によって違うのと同じで、その曲の特別な和音はその人ごとに違って良いし、cresc.の「どんな気持ちが大きくなるのか」の感じ方が違っていて良いと思うのです。譜面に示されたテンポ、拍子、ハーモニー、リズムやアーティキュレーション(この2つに頼り切ってしまうのも要注意!)などをヒントにしながら、楽譜とにらめっこしながら想像することを楽しみ、イメージしたことを言葉にする習慣をつけられると、さらに自信をもって、皆さんの音楽を、大きく表現できるようになると思いますよ。
皆さんがピアノに向かわれる時間が、今よりさらに、想像(創造)と発見に溢れたものになりますよう、期待しています!
塩見 亮