第7回ヤマハジュニアピアノコンクール ロマン楽器本選会 結果速報

2021年10月3日(日)、ロマンホールにて第7回ヤマハジュニアピアノコンクール、ロマン楽器本選会を開催させていただきました。厳正なる審査の結果、次の通りとなりましたのでご報告させていただきます。最優秀賞を受賞の方にはロマン楽器の代表として映像審査による二次選考へ進んでいただきます。皆さまの応援をお願いいたします。賞に入らなかった皆さまも素晴らしい演奏をありがとうございました。

結果発表

※掲載内容には注意を払っておりますが、文字の間違いなどを発見されましたらお知らせください。
※特殊文字などは一般的な文字に置き換わっている場合があります。

全体講評

YJPCロマン楽器本選会へのご出演、おめでとうございます。当日は何方も丁寧に演奏されていたのが印象的でした。楽譜に書かれていることを深く読み込んで共感しようとする演奏も、多く聴かれました。
その上で、気になったことをお伝えします。私たちは講評する上で「弱音」の重要性についてお話しすることが多いのですが、今回は「強音」が気になりました。ある一定以上の音量になると音色が均一化される演奏が多いと感じたのです。ピアノは打弦楽器ですから、どれだけ想像力を働かせても現実は楽器の内部で打楽器の動作を行わなければなりません。「歌うように」とか「弦楽器や管楽器のような音色を」等の言葉が美辞麗句のように誤解されるのは、そのせいです。では、打楽器奏者はどのように強い音をコントロールしているのでしょうか?楽曲内で要求される性格によってスティックやマレットを使い分けながら、ある時は指から肩まで大小の関節をしなやかに使いながら柔らく伸びる音を、またある時は掌を握りしめ関節を繋ぐ筋肉を引き締めて発する瞬発力のある音を、響きの減衰を聞きながら巧みに操作して様々な強音を生み出しています。それらはピアノを演奏する際に、あらゆる声や楽器の模倣をする手助けになりはしないでしょうか?仲間である打楽器奏者の奏法に目を向けてみると、多彩な強音を自在に操るヒントを得られるかもしれません。
「楽器の王様」と呼ばれるピアノを演奏する皆さんですから、きっと豊かな感受性の持ち主に違いありません。これからも日々の生活に感動し、仲間の演奏から刺激を受けて、幅広い表現を身につけてください。同じピアノを演奏する仲間として応援しています。

藤井快哉

YJPCロマン楽器本選会のご出場、おめでとうございます。
舞台と客席で音楽と感動を共有することが難しい日々が続きますが、それでも皆さんの「今日の精一杯」に触れることができて、とても感じることの多い今日の審査でした。
さて、そんな皆さんの演奏で特に目を引いたのが“弱音の表現力”でした。間の取り方や音色の選び方において、随分研究をされているな、と思わせる魅力的な演奏にたくさん出会いました。その一方で、一定以上の音量になった時に音色が無くなってしまう方が多かったように思います。理由は様々考えられますが、手指で腕の重みが支えられず、手首が落っこちてしまう弾き方、そして座り位置や椅子の高さの関係で、腕が伸びすぎたり、曲がりすぎたり、“自然に腕全体を使えない”状態になっていること、などが考えられます。特に二つ目は、成長期を迎える皆さんにとって、日々正解が変わる難しい問題です。動きが窮屈に感じる(あるいは見える)時に、あれこれ試してみるのも大切だと思います。また、「こんなフォルテ」というイメージをもって、音色をコントロールできる音量の幅を広げていく練習をされるといいでしょう。
また次回、大きく成長された皆さんの「今日の精一杯」に出会えますことを、そして来年こそは!たくさんの人からの拍手や熱気を皆さんが舞台の上で感じる喜びが戻ってきますように。

塩見 亮